J.P.スローン 著
藤沼康樹 訳
ISBN 978-4-938866-20-4
A5判 259ページ
「老年医学」は、"高齢者の内科学"として、どちらかというと専門医学としてとらえられがちである。しかし、高齢化社会の今、高齢者に対する医療は,高齢者個有の疾患に対する医療とともに、加齢にともなうさまざまな機能の低下に対するケアをも含む守備範囲の広いものとなっている。老年医学の医師とは、いわば高齢者の総合医にほかならない。つまり、それがプライマリ・ケア医としての役割なのだ。高齢者が日常生活のさまざまな場面でサポートを必要とする医療がプライマリ・ケア老年医学である。たとえば、高齢者が自動車を運転する場合、その可否を医療者として求められることもあるかもしれない(本文98ページ)。ただし、このような場合、医療は、1人の高齢者に対して定まった解決法があるとは限らない。種々のアプローチと解決法が考えられる。本書は、マニュアルではない。たくさんの事例をとおしてその解決法(複数)を具体的に学んでいくケーススタディガイドブックである。なお、原著は、カナダの総合病院医師が研修医に行った講義内容をもとにつくられており、欧米では、老年医学の推奨図書となっている。
1章 老化と虚弱性
2章 高齢者総合評価
3章 高齢者に対する薬物治療の原則
4章 移動能力の障害
5章 尿失禁
6章 認知障害
7章 うつ状態
8章 虐待,アルコール,自動車運転
9章 便秘,便失禁,褥瘡
10章 問題行動
11章 チームとケース・マネージメント
12章 在宅ケアと介護者の支援
13章 ナーシングホームにおけるケア
14章 緩和ケア
15章 倫理的問題