尾内康彦 著/大阪府保険医協会 編
ISBN 978-4-938866-67-9
A5判 137ページ
長年にわたって患者トラブルを解決してきた著者がたどり着いたトラブル解決の答えは、「“応招義務”の捉え直し」。解決できないトラブルで医師もスタッフも疲弊してしまっては医療が存続できない。「診療をお断りする」事例から展開する本書は、医師の働き方改革のためにも応招義務を捉え直すきっかけになれば、と、大阪府保険医協会で長年トラブル解決の相談に乗ってきた著者、そして弁護士、応招義務研究家が総力をあげてまとめたもの。
1 治療方針にことごとく反抗する患者に院長が憔悴しきってしまったケース
2 女性看護師に対してだけ暴言をあびせる患者に病院全体の問題として対応したケース
3 患者からのセクハラで女性職員が体調を崩したケース
4 誠意をつくして対応したのに中傷メールを流されて院長がショックを受けたケース
5 毎回のクレームに職員が怖がっているのに院長がやさしく対応しようとしたケース
6 間違いを指摘すると激高して暴言を繰り返す患者に職員が身の危険を感じたケース
7 一連の迷惑行為解決のための話し合いがこじれて職員が辞めさせられそうになったケース
8 反社会的勢力との付き合いのある患者の恫喝で院長と職員が精神的に追い込まれたケース
9 解決困難な患者トラブルが増えている
10 普通の市民によるトラブルが増えている
11 社会情勢が変わった
12 医療制度が変わった
13 医療者自身が変わった
14 患者の意識が変わった
15 患者の“権利”と医師の“義務”のすれ違いがある
16 医療は万能そして安全という患者の誤解がある
17 診療を絶対に拒めないという医療者の思い込みがある
18 善意に基づく使命感だけではトラブルは解決できない
19 応招義務の古い理解が多い
20 応招義務を捉え直す時期にきている
21 弁護士がみる応招義務の現状
22 応招義務の法解釈はどのように変わってきたか
23 応招義務が関連する裁判例の変遷の歴史
24 正当事由が注目された象徴的な3つの事例
25 行政通知の歴史
26 日本医師会等の最近の見解
27 現在の患者像を認識する
28 現代に通用する考え方と心構えでトラブルに対応する
29 患者と医療者の関係からサービスを考え直す
30 通知や裁判事例にみる応招義務と正当事由の捉え方
31 トラブル解決のために知っておきたい法制度
32 応招義務優先の考え方から抜け出す
33 患者トラブル対応でのポイントアドバイス