福生吉裕 著
ISBN 978-4-938866-22-8
A5判 261ページ 2色刷
さまざま病気で長期療養中の患者さんは、たとえば薬の副作用や手術後の後遺症、また口内炎や激しい疼痛など、原因はさまざまですが、"食べたいのに食べられない"ことがあります。これは本人はもとより、食事を摂ってほしいと願う介護者にとっても大きな悩みです。
このような患者さんにとって、ずっと食べられない状態が続くと、ともすれば深刻な問題ともなります。それは、健康な人の食欲不振と違い、病気をもつ人や高齢者の食欲不振はすぐに体力低下につながり、治癒への過程も遠のくからです。それだけに、そのような患者さんをケアする人にとって、何とか食べてもらいたいという思いは切実なものとなっています。医療における食事の位置付けは、ともすれば栄養のみに注意を払われがちですが、食事は、生活習慣のなかでも大きな喜びでもあり、病気の人であってもQOL向上には欠かせないものです。
本書は、病気で食欲のない人に対して、どうすれば食べてもらえるかという視点で食事提供のコツを紹介したものです。病気療養中で食事をとりにくい人に対して、病気に合わせて、食材の選び方、調理法などを医学的・栄養学的に納得できる食事づくりをアドバイスしたものです。そして、冷蔵庫にある身近な食材をもちいてすぐにできるレシピも紹介しています。
1. 食欲のメカニズム
2. 食欲不振の原因
3. 食欲不振の実践的対策-とくに高齢者の場合
4. 食欲不振をきたす疾患別栄養療法
5. 発熱のとき
6. 下痢のとき
7. 口内炎のとき
8. 慢性的な便秘のとき
9. 呼吸が苦しいとき
10. 全身倦怠のとき
11. 味覚障害のとき
12. 嗅覚障害のとき
13. 嚥下障害のとき
14. 口臭を気にするとき
15. 原因不明の食欲不振のとき
16. 脳血管障害-味覚障害,甘いものしか受けつけない
17. 頸部癌放射線照射-味覚障害,唾液分泌障害
18. パーキンソン病-咀嚼が緩慢
19. パーキンソン病-振戦
20. 脳梗塞後遺症-誤嚥しすぐに咳き込む
21. 慢性関節リウマチ-鎮痛剤の長期服用による胃腸障害
22. 胃瘻-経口摂取ができない
23. 人工肛門設置-臭気を気にする
24. 歯周病,う歯-摂食困難
25. 寝たきり-摂取量不足と褥瘡
26. 寝たきり-肥満を懸念して食事を制限
27. 寝たきり-排便コントロール不良と食事拒否
28. 外出困難-昼間独居,孤食
29. 上顎癌手術と放射線照射-口乾感,摂食・飲水困難
30. 胃全摘-ダンピング症候群
31. 膵臓癌-通過障害と嘔気
32. 癌性疼痛-モルヒネ使用,便秘
上手な水分補給
お粥の炊き方
だし汁のとり方
誤嚥を防ぐ食事介助
食欲不振とアルコールの効用
朝昼たんぱく質制限療法
食事介助の工夫
増粘剤の使い方
ミキサー食の作り方
間食と夜食
高齢者や障害者でも安全に調理するには
独居でもバラエティ豊かな献立
寒天の寄せ物の作り方
慢性的な痛みがあるとき